転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
 全部、本人の口から吐かせてやる。
 罪のない人間を巻き込んで、ひとりだけなにも語らないまま去って行こうだなんて、そんな都合のいい話あってたまるものか。


 反対側の校舎へ渡ると、図書室へと急いだ。予想通り、こちらの校舎はだいぶ火が回っていた。
 煙を吸わないように手で口を覆いながら、なんとか図書室へとたどりつく。
 図書室には、奇跡的にまだ直接火の手が回っていないが、このまま消火が遅れれば、炎にのみこまれるのは時間の問題だろう。

「はぁっ……はぁっ……! 見つけたわよ。コディ」

 走りっぱなしなのと、炎に囲まれた現状に、体力も精神力もギリギリだ。
 息を切らしながら、図書室の窓際の床に座り込んでいるコディに声をかける。
 俯いていたコディは私の声にピクリと反応し、顔を上げる。コディの虚ろな目は私たちを捉えると、にやりと口角を上げた。

「おふたりとも、なにしに来たんですか? その表情を見るに、僕が犯人なことはお気づきのようですが……」

 反省も、後悔もみられないコディの態度に絶句する。
 コディの右手には、爆発のスイッチであろう小さな機械が握られていた。
 そのスイッチを顔の前にかざし、コディは言った。

「どうでしたか? 僕の作った〝おもちゃ〟は」

 新しいおもちゃを手にした、小さな子供のような笑顔で。

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