転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
生きる意味
「なにを言っているの……? それが、あなたの作りたかったおもちゃなの?」
「そうですよ。春休みの間、店番しながら頑張って作ったんです。シエラ様、こう仰っていましたよね。完成するのを『楽しみにしてる』って。ご期待に応えられましたでしょうか?」

 おもちゃ屋へ行った帰りに、コディとしたやり取りを思い出す。
 あのときから既に、コディは爆弾を用意していて、学園を燃やす計画を練っていたんだ。

「なんでこんなことをしたの!? わざわざ自分で爆弾を作ってまで、いったい、なんの恨みがあって……」
「……いいですよ。もうなにもかも終わりだし、おふたりにはぜーんぶ話しますよ」

 手に持っていたスイッチを投げ捨てて、コディは気だるげに伸びをしながら話し始めた。

「昨日のレストランで起こった火事も、僕がやりました。――エリオット様の指示でね」
「エリオットの……指示?」
「どういうことだ」
「僕は夜会のあと、みんなが寝静まった時間に突然城に呼び出されて、エリオット様に言われたんですよ。レストランに火を放つ……つまり、フィデル様が見た事件の〝偽造〟に協力してほしいと。うまくやることができたら、ロレッタ様との婚約を解消すると言われました」

 深夜帯にコディを呼んだのは、私に見られることを警戒してのことか。というか、婚約解消!? 加えて、事件のでっちあげをするなんて……! だから昨日、エリオットは事件現場のすぐ近くにいたのか。事件が起きることが、事前にわかっていたから。

「エリオット様には、全部お見通しだったんです。僕がロレッタ様に、憧れ以上の感情を抱いていたことも、ロレッタ様の名前を出されれば、首を縦に振ることしかできないのも……」

 エリオットは、コディの気持ちを利用したんだ。自分の手を汚さずに、偽造事件を起こすために。
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