転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「それで僕は、昨日レストランに火をつけたんです。作戦は拍子抜けするほどうまくいって、エリオット様の思惑通り、おふたりは罪人扱い。……どうして今、自由に動けているのかはわかりませんが。それは僕にとってどうでもいいことです」
「……こっちにはシエラの〝千里眼〟があった。自分たちが見張られているとは考えなかったのか? 俺たちがお前に近づいたのは事件の関係者とわかっていたからだ。実際、お前はシエラに見張られていた。よく見張りの隙をついて、うまく事件を起こせたな」

 フィデルの言う通りだ。私が見れば、一発でバレてしまうリスクがあったはずなのに。

「そんなことは百も承知。おふたりが僕のおもちゃ屋に来たときは驚きと共に感動しましたよ。僕にたどり着くのが早すぎてね。これは強敵だとさえ思いました。でも、大したことなかったですねぇ……ククッ」

 フィデルは爪を噛みながら、堪えきれず笑い声を漏らす。

「まだわからないんですか? 見張られていたのは、あなたたちも同じだったんですよ」

「私たちが……!?」

「別邸にいるときは、さすがに見張りはつけられない。だけどおふたりは調査のために外に出る時間が多くなった。外を歩いてるときは、常時見張りをつける。そうすることで、力を使うタイミングがわかる。シエラ様は、ずっと力を使うことはできないようでしたし。あなたたちの行動は、無線通信で僕に逐一報告されてました。エリオット様は、本当の事件が起きる前にあなたたちを捕らえておきたかった。だから、一刻も早く偽造事件を起こしたかったんですよ」

「最初から、私たちに事件を解決させる気はなかったってことね……」

 無関係のレストランを燃やすことに、罪悪感を感じない人間のほうが、異能者の私たちよりずっと恐ろしい存在だと思う。

「エリオット様は凄まじい野心家ですよ。自分がいちばん上に立つためなら、なんだってする人。あなたたちのような異能者を自由にしておくわけがない。自分の立場を脅かす力を持ってるんですから。幼い頃、遥かに劣っていると思った弟が、力を持っているというだけで自分より贔屓されていた。よっぽど屈辱だったんでしょうね。エリオット様にとって、異能者は脅威でしかないんですよ」
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