転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
ふたりの協力者
声がしたほうを見れば、そこには腕を組んだドリスさんが立っていた。
ドリスさんは、亡くなった王妃様の代わりに私に王妃教育を叩きこんでくれた、王妃様の妹にあたる人だ。
王妃様の付き添いで城に来た際に、城の料理長と恋人関係になり結婚したらしい。
王妃様の血縁者ということで、陛下からも大事にされており、この城ではなかなかの権力者である。頭のよく、国の政治問題などにも携わっている。
顎下でばっさりと切りそろえられた桔梗色の髪の毛に、獲物を射抜くような鋭い瞳。目尻にかけて長くなる睫毛が色気を倍増させていて、文句なしの美人だ。〝近寄りがたい美人〟というのがいちばんしっくりくる例えかもしれない。
きつい見た目通り、ドリスさんはとにかく厳しかった。何度も心が折れそうになったが、私はドリスさんの教育に死ぬ物狂いでついて行った。この試練を乗り越えれば、その先に幸せがある
と信じて疑っていなかったから。
礼儀に厳しい割に、自分は堅苦しい呼び方をされるのが嫌いと言っていたので、私は〝ドリスさん〟と呼ばせてもらっている。
「ちょっとあんた、なにしてるの、って聞いてるんだけど」
「は、はい! おはようございますドリスさん! えっと私は、荷物をまとめようと一旦部屋に戻る最中でして……」
「へぇ……。シエラ、あんた本当にエリオットに婚約破棄されたのね」
「……は、はい。せっかく指導いただいたのに、無駄にしてしまって、申し訳ございません」
私が婚約破棄されてしまったことによって、ドリスさんが私に費やした時間は結果的に無駄なものとなった。正直、合わす顔がない。
ドリスさんは、亡くなった王妃様の代わりに私に王妃教育を叩きこんでくれた、王妃様の妹にあたる人だ。
王妃様の付き添いで城に来た際に、城の料理長と恋人関係になり結婚したらしい。
王妃様の血縁者ということで、陛下からも大事にされており、この城ではなかなかの権力者である。頭のよく、国の政治問題などにも携わっている。
顎下でばっさりと切りそろえられた桔梗色の髪の毛に、獲物を射抜くような鋭い瞳。目尻にかけて長くなる睫毛が色気を倍増させていて、文句なしの美人だ。〝近寄りがたい美人〟というのがいちばんしっくりくる例えかもしれない。
きつい見た目通り、ドリスさんはとにかく厳しかった。何度も心が折れそうになったが、私はドリスさんの教育に死ぬ物狂いでついて行った。この試練を乗り越えれば、その先に幸せがある
と信じて疑っていなかったから。
礼儀に厳しい割に、自分は堅苦しい呼び方をされるのが嫌いと言っていたので、私は〝ドリスさん〟と呼ばせてもらっている。
「ちょっとあんた、なにしてるの、って聞いてるんだけど」
「は、はい! おはようございますドリスさん! えっと私は、荷物をまとめようと一旦部屋に戻る最中でして……」
「へぇ……。シエラ、あんた本当にエリオットに婚約破棄されたのね」
「……は、はい。せっかく指導いただいたのに、無駄にしてしまって、申し訳ございません」
私が婚約破棄されてしまったことによって、ドリスさんが私に費やした時間は結果的に無駄なものとなった。正直、合わす顔がない。