転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
 そういう筋書きで話を進める気だったなら、コディに『婚約破棄をする』と言ったのもあながち嘘ではないけれど……ふたりがグルだったことと、コディを利用した事実は変わらない。

 あと、私はフィデルを助けるためだけにあの瞬間エリオットの話に乗っただけ。エリオットとよりを戻すなら、死んだほうがマシだ。

「じゃあお前は、ふたりへの復讐のために、この事件を起こしたっていうのか」

「あぁ……そう言われると、違うんだよね。だとしたら、フィデル様が予知を見たタイミングと合わなくなる。僕がこの計画を立てたのは、エリオット様とロレッタ様が婚約するって噂を聞いたとき。僕からロレッタ様を奪う人間を許せなかった。だからエリオット様が演説するこの日を狙って、新入生のふりして学園に忍び込んで、ホールに爆弾を仕掛けるつもりだったんだ」

「ホールに!? でも、コディが今日爆弾を置いたのは、ホールじゃなかったじゃない」

「……直前でロレッタ様も一緒に演説をすることを知ったから。愛情が憎しみに変わって、ふたりまとめて処分するにちょうどいいやと思ったんだけど……できなかったよ。中途半端な場所に中途半端な爆弾を仕掛けた結果がこれってわけ」

 両手を広げ、お手上げのポーズを取りながら、コディは苦笑した。

 ――ロレッタのことを、憎みきれなかったのね。そのおかげで、大惨事を免れたんだ。ホールに投げ込まれていたら、フィデルの言っていた通り、最悪の事態になっていたに違いない。

「……でも、フィデル様の予知の話を聞いたときは、鳥肌が立ったよ。自分の計画を見透かされた恐怖と……僕は本当に実行してしまうんだという恐怖……。どうやって回避してくるのかという楽しみ……。回避方法を答え合わせするなら、僕が犯人だと気づいて捕まえるか、エリオット様がロレッタ様を解放するかの二択だけだったね」

「フィデルの話を聞いて、あなたがとどまることだってできたんじゃないの?」

「逆だよ。フィデル様の発言は、僕の自信になった」
「……どういうことだ」
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