転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「お前を犯人だと知っているのはこの場にいる人間だけ。ならば、こういうのはどうだろうか? この事件は全部、〝フィデルとシエラの自作自演だった〟ということにするんだ」
「はぁ!? ちょっと、なに言ってるのよ!」
「そうすれば、お前が捕まることはない。それに加え、望むなら城での暮らしを保障してやるぞ。ロレッタの側近でもなんでも、希望の役職につかせてやる」
「……僕の、希望通りに?」

 コディがエリオットの話に興味を持ち始めた。
 まずい。このままエリオットに言いくるめられてしまったら……。

「お前は事件に巻き込まれた被害者。春休み中、図書室で本を読んでいると爆発が起きた。パニックになり逃げられないでいるとふたりが現れ、国民から信用を得るために起こした自作自演だと話しているのを聞いてしまった。怖くなり、決死の思いで図書室から飛び降りた――。こういうシナリオはどうだ?」

「そんなこと言ったら、私たちが犯罪者扱いされるじゃない! 私とフィデルが、どんな思いでここにきたと思っているの!?」

「お前たちはもともと捕まる運命だったんだから、別にいいじゃないか。あぁ、学園の一部は燃えたけど、被害者が出なかったのはお手柄だったよ。褒めてあげるよ。この先誰にも褒められることはないだろうから」

 乾いた拍手が鳴り響く。このまま、エリオットの筋書き通りに物語を進められたら、私とフィデルは終わりだ。

「コディ。どうすればいいかなんて、わかってるわよね?」

 ロレッタがコディに近づき、コディの手を握った。

「……はい。わかってます」
「うふふ。さすがはコディだわ。私、物わかりのいい人大好きよ」

 猫撫で声を出し、媚びるようにコディにすり寄るロレッタ。
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