転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「取引成立だな。ロレッタ、そのままコディを連れて学園の正面入り口前まで戻るぞ。そこでコディに、ふたりがやったと証言させるんだ」
「わかりましたわエリオット様。ほらコディ、行きましょう」

 ロレッタは強引にコディの手を引いて、エリオットと一緒に学園入り口前まで走り出す。
 コディに抵抗する様子は見られず、おとなしくロレッタについて行っている。

「だめよコディ! ふたりの言うことを聞いたらだめ! そんなことしたって、あなたはなにも変わらないわ!」

 私とフィデルも、すぐに後を追いかけた。
 私の叫びに、コディが振り返ることはなく、あっという間に人だかりができている入り口前まできてしまった。

「生きてたのか!」
「無事でよかった! お前たちのおかげで、娘が助かったんだ!」

 私たちを見て、ざわめきが大きくなる。
 駆け寄ってお礼を言ってくれる人もいるのに、笑顔で答えることができない。だってこれから、犯罪者に仕立て上げられるのだから。

「みんな聞いてくれ! 今回の事件の真犯人がわかった! 今からこの勇気あるひとりの生徒が、すべてを話してくれるそうだ!」

 エリオットが人だかりの中心までコディを連れて行き、そう叫んだ。
 みんながコディに注目している。コディはしばらくの間、黙ったまま俯いて、ふと顔を上げた。

 コディは私とフィデルを見て、にっと笑うと、やっと口を開いた。

「今回の爆発事件は――僕がやりました」

 はっきりと、コディはそう言った。
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