転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「やっぱり……そうだったのね。本当に、馬鹿なんだから。あんたは。そんなわけないでしょう」
ドリスさんは、悲しそうな顔をしている。
「俺が、予知を言ったせいだ。エリオットは俺が予知を見たことを隠したと言っていたが実際は違う。俺が、母に自分が見た予知を告げてしまった」
「……フィデル、どういうことだ!?」
陛下が初めて、声を上げた。
「母に口止めされていたんだ。『お父様に心配かけたくないから、このことは内緒にしておいて』と……。でも、母は俺が見た予知のせいで疲弊し、睡眠薬に手を出して、階段から落ちた」
「フェリシテが……私を悲しませないために……なんということだ」
陛下はその場に膝から崩れ落ちる。私が幼い頃は、陛下は明るく優しい人だったのに、王妃様が死んでからは、人が変わったように冷たくなった。
この話を聞いて、陛下がフィデルへの恨みを強めてしまうことが、私には怖く感じた。
でも、フィデルは包み隠さずすべてを打ち明けている。フィデルなりのけじめだとしたら、私が口を挟む権利はない。
今の私にできることは、この場を黙って見守ることだけだ。
「それは違うわ、フィデル。あたしもずっと、みんなに隠してたことがあるの」
「なんだドリス! お前は前からフィデルをやたらと庇っていた! まさか、お前が突き落としたとでもいうのか!」
陛下は涙をこらえ、赤くなった目でドリスさんに怒鳴りつける。ドリスさんは首を横に振ると、すぅっと短く息を吸い込み、観念したように口を開いた。
「フェリシテはね、幼い頃から心臓の病気を患っていたの。大人になってしばらくは落ち着いてたんだけど……急に容態が悪化してね。死んでしまう少し前から、医者からもう長くはないと言われていたわ」
ドリスさんは、悲しそうな顔をしている。
「俺が、予知を言ったせいだ。エリオットは俺が予知を見たことを隠したと言っていたが実際は違う。俺が、母に自分が見た予知を告げてしまった」
「……フィデル、どういうことだ!?」
陛下が初めて、声を上げた。
「母に口止めされていたんだ。『お父様に心配かけたくないから、このことは内緒にしておいて』と……。でも、母は俺が見た予知のせいで疲弊し、睡眠薬に手を出して、階段から落ちた」
「フェリシテが……私を悲しませないために……なんということだ」
陛下はその場に膝から崩れ落ちる。私が幼い頃は、陛下は明るく優しい人だったのに、王妃様が死んでからは、人が変わったように冷たくなった。
この話を聞いて、陛下がフィデルへの恨みを強めてしまうことが、私には怖く感じた。
でも、フィデルは包み隠さずすべてを打ち明けている。フィデルなりのけじめだとしたら、私が口を挟む権利はない。
今の私にできることは、この場を黙って見守ることだけだ。
「それは違うわ、フィデル。あたしもずっと、みんなに隠してたことがあるの」
「なんだドリス! お前は前からフィデルをやたらと庇っていた! まさか、お前が突き落としたとでもいうのか!」
陛下は涙をこらえ、赤くなった目でドリスさんに怒鳴りつける。ドリスさんは首を横に振ると、すぅっと短く息を吸い込み、観念したように口を開いた。
「フェリシテはね、幼い頃から心臓の病気を患っていたの。大人になってしばらくは落ち着いてたんだけど……急に容態が悪化してね。死んでしまう少し前から、医者からもう長くはないと言われていたわ」