転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
王妃様が、病気だった――?
初めて聞くことだった。当たり前だ。この場にいる全員が、驚いて言葉も出ないようなことを、ただの貧乏貴族だった私が知ってるはずがない。
「あの子はね、誰にも言いたがらなかったの。まだ、自分が生きることを信じてた。余命なんて当てにならないって笑ってたわ。でも、フィデルの予知を聞いて悟ったんでしょうね。自分が、もうすぐ死んでしまうことを。……医者の言うことは信じなくても、フィデルの言うことはあっさりと信じたのよ。それが、どんなに辛い未来でも」
「そんな……顔色が悪かったのも、薬を飲んでいたのも、そのせいだっていうのか」
動揺するフィデルに答えるように、ドリスさんは深く頷いた。
「……じゃあ、どうして、どうして母は……母様は、階段から落ちて死んだんだ。病気で死んだなら、あんな死に方をするのはおかしい」
「これはあたしの勝手な憶測に過ぎないけど――夜中に発作が起きて、フェリシテは死を覚悟した。苦しみながらも部屋を出て、一階へ降りようとしたときに意識を失って、階段から落ちた。どうしてフェリシテが一階へ降りたかったかわかる?」
「……まさか、母様は」
「そう。あのとき、フィデルの部屋だけは一階にあった。きっと、このまま死んだらフィデルが自分を責めることをわかってた。だからフェリシテは、あんたに伝えたかったのよ。『フィデルのせいじゃない』って……」
フィデルの頬を、一筋の涙が伝う。
当事者ではないのに、私の目からも気づけば涙が零れていた。
初めて聞くことだった。当たり前だ。この場にいる全員が、驚いて言葉も出ないようなことを、ただの貧乏貴族だった私が知ってるはずがない。
「あの子はね、誰にも言いたがらなかったの。まだ、自分が生きることを信じてた。余命なんて当てにならないって笑ってたわ。でも、フィデルの予知を聞いて悟ったんでしょうね。自分が、もうすぐ死んでしまうことを。……医者の言うことは信じなくても、フィデルの言うことはあっさりと信じたのよ。それが、どんなに辛い未来でも」
「そんな……顔色が悪かったのも、薬を飲んでいたのも、そのせいだっていうのか」
動揺するフィデルに答えるように、ドリスさんは深く頷いた。
「……じゃあ、どうして、どうして母は……母様は、階段から落ちて死んだんだ。病気で死んだなら、あんな死に方をするのはおかしい」
「これはあたしの勝手な憶測に過ぎないけど――夜中に発作が起きて、フェリシテは死を覚悟した。苦しみながらも部屋を出て、一階へ降りようとしたときに意識を失って、階段から落ちた。どうしてフェリシテが一階へ降りたかったかわかる?」
「……まさか、母様は」
「そう。あのとき、フィデルの部屋だけは一階にあった。きっと、このまま死んだらフィデルが自分を責めることをわかってた。だからフェリシテは、あんたに伝えたかったのよ。『フィデルのせいじゃない』って……」
フィデルの頬を、一筋の涙が伝う。
当事者ではないのに、私の目からも気づけば涙が零れていた。