転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
第二王子との対面
ニールの助けもあって、私は無事に誰にも怪しまれることなく別邸へとたどり着くことができた。ニールは慣れた手つきで鍵を外すと、先に別邸に入りフィデル様のもとへ夕飯を運んで行った。
中から微かにふたりの話し声が聞こえるが、特に世間話をする様子もなく、必要最低限の会話は終わるとニールはすぐに別邸の外まで戻ってくる。
「じゃあ、私の役目は終わりましたので、あとはシエラ様、頼みます」
「ちょ、ちょっと待って! そんな急にひとりで別邸に突入させられる感じなの?」
私的にはニールが一緒に中まで入ってくれて、いろいろサポートしてくれるほうがありがたいのだけど。フィデル様だって、急に見知らぬ人物が入ってきたら不審者と思ってまともに話すら聞いてくれない可能性がある。
「大丈夫ですって。フィデル様だって、何年振りかに私以外の人間に会うのですから、テンション上がっちゃうと思います!」
「いやいや。そんな愉快な性格の人には思えないんだけど……」
「それに、私はまだ城に戻ってやることがありますから。後で夕食の食器を回収しに必ず戻ってきますので。それではシエラ様、ご健闘を祈っております」
ニールは別邸の玄関の鍵を開けたまま、さわやかな笑顔で私をひとり残し足早に去って行った。
ニールってば、きっちりしてるようで、案外楽観的なのね……。
私は扉に手をかけ、覚悟を決めてゆっくりと開ける。一歩ずつ踏み出しゆっくりと中に入り、控えめな音を立てて扉を閉めた。部屋の内側に鍵は見つからない。やはり、この別邸は外からしか鍵を開けることができない仕様になっているみたいだ。
奥のリビングへと進むと、運ばれてきた料理には手をつけず、ソファに座って本を読んでいるフィデル様が見えた。
その姿は、昨日〝千里眼〟で見た通り……いや、間近で見るとそれ以上に美しく、どこか儚さを感じる。
中から微かにふたりの話し声が聞こえるが、特に世間話をする様子もなく、必要最低限の会話は終わるとニールはすぐに別邸の外まで戻ってくる。
「じゃあ、私の役目は終わりましたので、あとはシエラ様、頼みます」
「ちょ、ちょっと待って! そんな急にひとりで別邸に突入させられる感じなの?」
私的にはニールが一緒に中まで入ってくれて、いろいろサポートしてくれるほうがありがたいのだけど。フィデル様だって、急に見知らぬ人物が入ってきたら不審者と思ってまともに話すら聞いてくれない可能性がある。
「大丈夫ですって。フィデル様だって、何年振りかに私以外の人間に会うのですから、テンション上がっちゃうと思います!」
「いやいや。そんな愉快な性格の人には思えないんだけど……」
「それに、私はまだ城に戻ってやることがありますから。後で夕食の食器を回収しに必ず戻ってきますので。それではシエラ様、ご健闘を祈っております」
ニールは別邸の玄関の鍵を開けたまま、さわやかな笑顔で私をひとり残し足早に去って行った。
ニールってば、きっちりしてるようで、案外楽観的なのね……。
私は扉に手をかけ、覚悟を決めてゆっくりと開ける。一歩ずつ踏み出しゆっくりと中に入り、控えめな音を立てて扉を閉めた。部屋の内側に鍵は見つからない。やはり、この別邸は外からしか鍵を開けることができない仕様になっているみたいだ。
奥のリビングへと進むと、運ばれてきた料理には手をつけず、ソファに座って本を読んでいるフィデル様が見えた。
その姿は、昨日〝千里眼〟で見た通り……いや、間近で見るとそれ以上に美しく、どこか儚さを感じる。