転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
学園を卒業し、私は十八歳になった。いよいよ、エリオット様との結婚が目の前にきている。
次の夜会で正式に結婚発表をし、早急に式の準備が始まる。
「やっと……ここまできたのね」
辛い過去や、エリオット様と過ごした甘い時間を思い出しながらひとり感傷に浸っていると――。
「シエラ。ちょっといいか?」
エリオット様に突然呼び出され、私は城の広間までついて行った。サプライズでプロポーズでもしてくれるのだろうか、なんて淡い期待を抱きながら。
「エリオット様。お話というのは……」
「ああ。その前に……こっちへ来い。ロレッタ」
耳を疑う言葉が聞こえた。ロレッタというのは同じ学園に通っていたお金持ち侯爵令嬢だ。そしてエリオット様のことを好きだからか、学園生活中に婚約者の私にいちばんしつこく嫌がらせをしてきた女……。
私は嫌がらせを受けていたことを誰にも言ったことがないので、エリオット様はその事実を知らないが、どうしてこの女が今ここにいるのか理解に苦しむ。
挙句の果てに、エリオット様の背中に隠れるようにして、婚約者の私をよそにエリオット様に身を寄せているし……。
なにが起きているかわからない私に向けて、エリオット様は口を開き、きっぱりとこう言い放った。
「シエラ・ガードナー。君との婚約を、今この瞬間を持って破棄させてもらう」