転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「してみたいとは思わない?」
「……興味は、ないといえば嘘になる。自分のそんな姿が、想像つかないしな」
自分のために、フィデルから協力を得たくて会いにきたというのに……私がフィデルをなんとかしてあげたい、という感情がどんどん強くなっていく。
ニールとの約束もあるし、ここは私が、フィデルの毎日に彩りを与えられるように頑張ろうじゃない。
「興味があるなら話は早いわ。それはつまり、今の生活を受け入れてはいるけど、変えられるなら変える気はあるってことよね?」
「まぁ、変えられるなんて思ってもみなかったから、今まで考えたことなかったが……。少し飽きてきたのは事実だ。頼んでいる新しい本だって、いつまで経ってもきやしないし」
「だったら変えるために、私に協力して! もちろん、私もあなたにやりたいことがあるなら、全力でサポートする覚悟はあるわ!」
「協力って、具体的になにをするんだ」
「今まで好き勝手してきたエリオットへの仕返し! あなたも実際、恨みつらみがあるでしょう? 今度は私たちの反撃よ。私は何年分もの努力を一瞬で無駄にされて、挙句明日の夜会で嘘つき女として世間のさらし者にされかかってる。たとえ貧乏だとしても、由緒あるガードナー家のひとり娘としてそんなの絶対に許さない!」
「……そんなの、お前ひとりでさらっとやってのけそうだけど」
「無理無理! 私は本来なら今日中に城を出なくてはいけない身だし。異能に目覚めなかったら、きっと泣き寝入りするしかなかった」
フィデルのように、現実を受け入れ、沈んでいくだけの未来を変えてくれたのは、神様が与えてくれたこの力だ。
「だから、なにもわかってない奴らにふたりで思い知らせてやりましょう。『異能者なめんなよ』……ってね」
「ふっ。おもしろいことを考えるやつだな。だが、俺の力がお前の役に立つのか、お前の力が俺の役に立つのかは疑問が残る」
なにを言っている。私とフィデルの力は、ふたりで協力するためにあるようなものだというのに。