転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
戦闘準備、開始
慣れた道を、なんの迷いもなくどんどん進んでいく私と逆に、フィデルは落ち着きなくきょろきょろとしている。
それもそのはず。聞いてみれば、外に出たのは実に十年ぶりだというのだから。驚きと同時に、フィデルから奪った十年という月日は、どれだけ願っても返ってこないと思うと、やるせなさでいっぱいになった。
「どうしたんだ? 暗い顔をして」
「え? そ、そう?」
「こんなに天気がいいのに、そんな顔をしていたらもったいない。……街もずいぶん変わっているな。知らない国にきたみたいだ」
フィデルは顔には出さないが、街を歩くだけで楽しくて仕方ないというのが伝わってくる。……そうだ。私が勝手に同情して、元気をなくしてどうする。フィデルにとって、今日は外に出た特別な日なんだから。
「そうね。フィデルの言う通りだわ」
今日は時間がないから、フィデルを案内してあげられないけど、時間ができたらもう一度、ゆっくりフィデルと街にこれたらいいなぁ。なんて思っていると、いつの間にか家に到着していた。
私が扉をノックして、『お母さーん! ただいま! シエラよ!』と叫ぶと、家の中からバタバタと誰かが走ってくる音が聞こえる。
ガチャリと扉が開くと、中から必死な顔をしたお母さんが顔を覗かせた。
「シエラ! おかえり! 大丈夫なの!?」
「あはは……。知ってると思うけど、いろいろあって。とりあえず、上がっていい?」
「もちろんよ! ……この隣にいる方は?」
お母さんは、私の隣で異様な存在感を放っているフィデルを奇妙なものを見るようにじろじろと見ながら言う。
それもそのはず。聞いてみれば、外に出たのは実に十年ぶりだというのだから。驚きと同時に、フィデルから奪った十年という月日は、どれだけ願っても返ってこないと思うと、やるせなさでいっぱいになった。
「どうしたんだ? 暗い顔をして」
「え? そ、そう?」
「こんなに天気がいいのに、そんな顔をしていたらもったいない。……街もずいぶん変わっているな。知らない国にきたみたいだ」
フィデルは顔には出さないが、街を歩くだけで楽しくて仕方ないというのが伝わってくる。……そうだ。私が勝手に同情して、元気をなくしてどうする。フィデルにとって、今日は外に出た特別な日なんだから。
「そうね。フィデルの言う通りだわ」
今日は時間がないから、フィデルを案内してあげられないけど、時間ができたらもう一度、ゆっくりフィデルと街にこれたらいいなぁ。なんて思っていると、いつの間にか家に到着していた。
私が扉をノックして、『お母さーん! ただいま! シエラよ!』と叫ぶと、家の中からバタバタと誰かが走ってくる音が聞こえる。
ガチャリと扉が開くと、中から必死な顔をしたお母さんが顔を覗かせた。
「シエラ! おかえり! 大丈夫なの!?」
「あはは……。知ってると思うけど、いろいろあって。とりあえず、上がっていい?」
「もちろんよ! ……この隣にいる方は?」
お母さんは、私の隣で異様な存在感を放っているフィデルを奇妙なものを見るようにじろじろと見ながら言う。