転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
力がなくても、幸せになれるよう――。
「大丈夫! 私は間違ったことには絶対力を使わない。自分の力で破滅する気もない。それに、私はひとりじゃないから! フィデルもいるし!」
「……ふふ。そうね。シエラには、こんな心配いらなかったわね」
「じゃあ、結構時間経ったし、そろそろ戻るね。今日はいろいろ聞いてくれて、教えてくれてありがとう。お父様にも言っておいて。シエラは大丈夫だ、って」
「あら? シエラ、お城に戻るの? てっきり今日からまた一緒にこの家で暮らせるものだと思っていたのに」
寂しそうに言うお母様には申し訳ないが、私にはまだやることがある。今帰るわけにはいかない。
「しばらくは、フィデルのところに泊まることにしたの」
「まぁ! フィデル王子、娘をよろしくお願いいたします」
フィデルのところへ行くと聞いて、なぜか喜んでいるお母様。この短時間で、フィデルのことを気に入ったみたいだ。その証拠に、エリオットと会ったときには見せたことのない笑顔をフィデルに振りまいている。
家を出ると、フィデルはまたフードを被った。お母様は家の外まで私たちを見送ってくれ、笑顔で言う。
「シエラ、いつでも帰ってきなさい。フィデル王子も、いつでも遊びにいらしてくださいね」
「うん! またね!」
「……お邪魔しました」
大きく手を振る私と、軽くお辞儀をするフィデル。
「どう? 引きこもってるのもいいけど、たまには誰かの家に遊びにいくのもいいでしょ?」
にまにま笑いながら話しかけてくる私を見て、フィデルは顔をしかめる。プイッと前を向いて、私と視線を合わせずにフィデルは言った。
「まぁ、悪くはないな」
『アップルパイも美味かったし』と、小さな声でボソッと呟いたのも、私の耳にはしっかりと届いていた。
「大丈夫! 私は間違ったことには絶対力を使わない。自分の力で破滅する気もない。それに、私はひとりじゃないから! フィデルもいるし!」
「……ふふ。そうね。シエラには、こんな心配いらなかったわね」
「じゃあ、結構時間経ったし、そろそろ戻るね。今日はいろいろ聞いてくれて、教えてくれてありがとう。お父様にも言っておいて。シエラは大丈夫だ、って」
「あら? シエラ、お城に戻るの? てっきり今日からまた一緒にこの家で暮らせるものだと思っていたのに」
寂しそうに言うお母様には申し訳ないが、私にはまだやることがある。今帰るわけにはいかない。
「しばらくは、フィデルのところに泊まることにしたの」
「まぁ! フィデル王子、娘をよろしくお願いいたします」
フィデルのところへ行くと聞いて、なぜか喜んでいるお母様。この短時間で、フィデルのことを気に入ったみたいだ。その証拠に、エリオットと会ったときには見せたことのない笑顔をフィデルに振りまいている。
家を出ると、フィデルはまたフードを被った。お母様は家の外まで私たちを見送ってくれ、笑顔で言う。
「シエラ、いつでも帰ってきなさい。フィデル王子も、いつでも遊びにいらしてくださいね」
「うん! またね!」
「……お邪魔しました」
大きく手を振る私と、軽くお辞儀をするフィデル。
「どう? 引きこもってるのもいいけど、たまには誰かの家に遊びにいくのもいいでしょ?」
にまにま笑いながら話しかけてくる私を見て、フィデルは顔をしかめる。プイッと前を向いて、私と視線を合わせずにフィデルは言った。
「まぁ、悪くはないな」
『アップルパイも美味かったし』と、小さな声でボソッと呟いたのも、私の耳にはしっかりと届いていた。