転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
『エリオット様は、こちらのタキシードはどうでしょう? この白い生地と金色の模様が、エリオット様の美しい空のような髪色に合いますわ』
『どうかな? でもきっと、ロレッタが言うならそうなんだろうね。君のセンスのよさは、僕がいちばんよく知っているから』
『お褒めの言葉、光栄です。でも、不安もあります……。これを着たエリオット様があまりにかっこよすぎて、今よりもっとエリオット様がおモテになられてしまうことが……』
『ああ、僕のかわいいロレッタ。不安になることなんてないさ。だって今日、皆に発表されるのだから。僕らが正式に婚約したことを。――同時に、シエラには破滅してもらうけどね』
エリオットはほくそ笑み、ロレッタの腰を抱き寄せる。ふたりの顔が近づいたところで私は強制的に瞬きをした。これ以上見ていたら、怒りで頭がどうにかなりそうだ。
「ずいぶん大きなひとりごとを言っていたが、なにが見えたんだ?」
私がいらだっていることに気づいたフィデルが、横から声をかけてきた。
ふたりがバカップルのように衣装を選んでいたことと、私を馬鹿にしていたことを話す。
「ふん。くだらないやつらだ。いちいち相手にするな」
私の話を聞いたフィデルは、クールに言い放つ。上下黒の服を着たままだからか、発言も相まって、まるで闇に潜むプロの殺し屋のように見えてきた。
「……そういえば、フィデルは夜会に着ていく服ってあるの? よそ行き用みたいなやつ」
「あるわけないだろ。俺はここから出られなかったんだ。衣服も必要最低限のもの以外ない」
そう言われたものの、知らないだけで一着くらいあるだろうと思い、私は勝手に部屋のクローゼットを開けてみた。
しかし、どれだけ探しても、地味で暗い色をした服しか見当たらない。エリオットが着ていたような質感のいい高い服は、本当に一着も用意されていなかった
『どうかな? でもきっと、ロレッタが言うならそうなんだろうね。君のセンスのよさは、僕がいちばんよく知っているから』
『お褒めの言葉、光栄です。でも、不安もあります……。これを着たエリオット様があまりにかっこよすぎて、今よりもっとエリオット様がおモテになられてしまうことが……』
『ああ、僕のかわいいロレッタ。不安になることなんてないさ。だって今日、皆に発表されるのだから。僕らが正式に婚約したことを。――同時に、シエラには破滅してもらうけどね』
エリオットはほくそ笑み、ロレッタの腰を抱き寄せる。ふたりの顔が近づいたところで私は強制的に瞬きをした。これ以上見ていたら、怒りで頭がどうにかなりそうだ。
「ずいぶん大きなひとりごとを言っていたが、なにが見えたんだ?」
私がいらだっていることに気づいたフィデルが、横から声をかけてきた。
ふたりがバカップルのように衣装を選んでいたことと、私を馬鹿にしていたことを話す。
「ふん。くだらないやつらだ。いちいち相手にするな」
私の話を聞いたフィデルは、クールに言い放つ。上下黒の服を着たままだからか、発言も相まって、まるで闇に潜むプロの殺し屋のように見えてきた。
「……そういえば、フィデルは夜会に着ていく服ってあるの? よそ行き用みたいなやつ」
「あるわけないだろ。俺はここから出られなかったんだ。衣服も必要最低限のもの以外ない」
そう言われたものの、知らないだけで一着くらいあるだろうと思い、私は勝手に部屋のクローゼットを開けてみた。
しかし、どれだけ探しても、地味で暗い色をした服しか見当たらない。エリオットが着ていたような質感のいい高い服は、本当に一着も用意されていなかった