転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「さっきは、ロレッタ様が卒業したあとの学園生活が不安になって、ロレッタ様に会いたくなっちゃったんです。忙しかったみたいで、怒られましたが……。すみません。ここまで来てもらったのに、大した情報を持ってなくて」

 コディは申し訳なさそうに、私とフィデルに頭を下げた。
 事件への手がかりはまったく掴めなかったけど……コディのことを知ることができたし、今日のところはこれ以上引き出せることはないだろう。

「コディ、またなにかあったら、聞きにきてもいい?」
「はい。春休み中は、だいたいここにいると思うので」
「ありがとう! じゃあまた遊びにくるわね。今度はおもちゃも買いにくるから!」
「是非! ……僕、今おもちゃ作りに挑戦してるんです。完成したら見てくださいね!」 
「わあ! 素敵ね! 楽しみにしてるわ!」

 コディに手を振り、私たちはおもちゃ屋を後にした。

「……コディ、いい子だったね」

 帰り道、フィデルに話しかける。もっと暗くて、ジメジメした子かと思えば、よく笑うし、普通の好青年といった印象だ。

「そうだな。怪しい動きもみえなかった」
「コディ犯人説はなくなったかぁ」
「でも、事件現場にいたのは間違いない。止めなければ、被害者としてあいつか巻き込まれる」
「どちらにせよ、コディの周りや、行くところで事件が起きるってことか。見張っとくにこしたことはないようね」
「ああ」

 なんだか、次へ繋がる情報が得られずまた振り出しに戻った気分。せめて、いつ起きるのかだけでも特定しておきたい。

 その後はお互い無言のまま、私たちは別邸に戻った。結局今日は、事件が起きそうな気配もなかった。
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