転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
第二王子の噂
 〝婚約破棄〟というものをされてから、初めての朝を迎えた。前世で見ることのできなかった婚約破棄後の朝日は、いつもと変わらずに眩しくて目を細める。

 昨日、私は一日かけて、自分に宿った〝千里眼〟の能力を何度も試してみた。そして試していくうちに、この力のことを大体理解した。そもそも〝千里眼〟という能力は、その場にいなくとも遠隔地の出来事を感知することができる能力である。

 私の力もその説明通りではあるけど、好きなものをなんでも見れる、というわけではないようだった。つまり、私の〝千里眼〟は万能ではない。

 まず、〝見ることができるもの〟が限られている。名前を知っているか、一度見たことがあるなど、私自身の記憶上に残っている人やものしか見ることができない。

 もうひとつは、能力を連続して何度も使うとだんだんと見ることができる時間が少なくなっていくこと。見たいものを好きなだけずっと見ることは不可能。これはもしかしたら私のコントロール次第で改善できるのかもしれないけど……。

 そして最後に大事なのは、瞬きをした瞬間に力の効果が切れるということ。能力を使っている最中の瞬きは厳禁だ。ドライアイ気味の私には少々辛いものがあるが我慢するしかない。
 神様から与えられた自分の能力を把握したところで、早速私は、どうすればエリオット様――いや、もう様をつける必要もないわね。エリオットとロレッタのふたりをぎゃふんと言わせられるか、自分が惨めな令嬢のまま終わらないで済むかを考えていた。
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