転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「たまたま僕が近くにいたお陰で、すぐに連絡が行きわたり、大袈裟にならずに済んだよ。事件を解決したのは、お前たちでなく僕だったようだ」

 エリオットがすぐに国の救助隊を呼んだことで、火事も最小限に抑えられ、被害も少なかったという。
 私は、エリオットになにも言い返すことができなかった。エリオットがいなければ、もっとひどい事態になっていたかもしれない。

「僕も馬鹿じゃないからね。お前たちに任せるふりをして、自分もずっと周りを警戒していた。国で大きな事件が起きることは、僕だって阻止したかったんだ。――お前たちを野放しにしないためには、僕が事件を解決するのが一番合理的だと思ってね」

 エリオットの目的は、事件も解決し、私たちから自由を奪うことだったのか。私はこの男のことを侮っていた。のんきな装いも、カモフラージュだったのかとさえ思えてくる。

「……にしても、フィデル。お前、予知を大袈裟に言いすぎじゃないか? 爆発で真っ赤に燃えて、最悪の事態になる、って……。火の元はキッチンの小さな火だったし、店内にも少数の人間しかいなかった」
「それなら、フィデルの見た予知はまだ起きていないんじゃ!?」

 そうよ。だって、コディが巻き込まれていないこともおかしい。もしかして、エリオットの助けがあったから、コディは家事に巻き込まれるのを回避できたってことなの?

「じゃあ聞かせてもらおう。フィデル、お前はあれからどんな予知を見た? 今回の火事が別件なら、お前はこの事件の予知も見ていたんじゃないのか?」
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