転生令嬢はまるっとすべてお見通し!~婚約破棄されたら、チートが開花したようです~
「待って! フィデルは見られる予知を選べない。だから、この事件の予知を必ず見るとは限らないじゃない」
「見ないとも限らない。これは確認だ。見ていないなら、夜会の日に見た事件は今回のことという可能性が高いだろう。一週間以内に身近で火事が二度も起きるとは考えにくい」
エリオットの言っていることは正論だ。フィデル自身、わからなくてずっと頭を悩ませているというのに。
「……見ていない。夜会の日に見て以来、悲惨な予知は、ひとつも見ていないんだ」
「フッ。どうやら話はついたようだ。お前が大袈裟な予知を言って、周りに意味のない恐怖を与えたということがよくわかった」
「違う。この事件が100パーセント関係ないとは言い切れないが、なにか違和感が――」
「黙れ! お前の話など、ここにいる誰が信じるというんだ!」
「っ……!」
完全に、私とフィデルの信用はなくなっていた。
「なにが〝予知能力〟だ! 勝手なこと言いやがって!」
「能力のないエリオット王子のほうがすごいじゃないか」
「この大嘘つきの異能者ども!」
罵声を浴びせられ、焼けて焦げた薄い木の板や、道に転がる石を投げつけられる。
私にあたらないよう、庇うようにフィデルが私の前に立った。先の尖った石がフィデルの頬をかすめ、ツーッと血が流れる。
「フィデル! だいじょう――」
ぶ、と言いかけたところで、私はエリオットに背後から拘束される。
「ちょっと! なにするのよ! 離して!」
「それは難しい注文だ。お前たちが国民を脅かしたという罪は、きっちり償ってもらう」
薄暗くなった空の下で、はっきりとエリオットが楽しそうに笑っているが見えた。
いつの間にか、フィデルは何人もの兵士に後ろ手に拘束され、私より先にどこかへ連れて行かれる。
「見ないとも限らない。これは確認だ。見ていないなら、夜会の日に見た事件は今回のことという可能性が高いだろう。一週間以内に身近で火事が二度も起きるとは考えにくい」
エリオットの言っていることは正論だ。フィデル自身、わからなくてずっと頭を悩ませているというのに。
「……見ていない。夜会の日に見て以来、悲惨な予知は、ひとつも見ていないんだ」
「フッ。どうやら話はついたようだ。お前が大袈裟な予知を言って、周りに意味のない恐怖を与えたということがよくわかった」
「違う。この事件が100パーセント関係ないとは言い切れないが、なにか違和感が――」
「黙れ! お前の話など、ここにいる誰が信じるというんだ!」
「っ……!」
完全に、私とフィデルの信用はなくなっていた。
「なにが〝予知能力〟だ! 勝手なこと言いやがって!」
「能力のないエリオット王子のほうがすごいじゃないか」
「この大嘘つきの異能者ども!」
罵声を浴びせられ、焼けて焦げた薄い木の板や、道に転がる石を投げつけられる。
私にあたらないよう、庇うようにフィデルが私の前に立った。先の尖った石がフィデルの頬をかすめ、ツーッと血が流れる。
「フィデル! だいじょう――」
ぶ、と言いかけたところで、私はエリオットに背後から拘束される。
「ちょっと! なにするのよ! 離して!」
「それは難しい注文だ。お前たちが国民を脅かしたという罪は、きっちり償ってもらう」
薄暗くなった空の下で、はっきりとエリオットが楽しそうに笑っているが見えた。
いつの間にか、フィデルは何人もの兵士に後ろ手に拘束され、私より先にどこかへ連れて行かれる。