人格矯正メロディ
コトハは怯えた表情をあたしへ向けている。


「どうしたのコトハ? もしかして、あたしがみんなに無視するように命令したと思ってる?」


そう聞くが、コトハは押し黙ったままだ。


「それなら誤解だから安心して? あたしはなにも言ってないから。ちょっと、コトハのことをイジメようとしたのは誰!?」


そう言うと2人組の女子生徒が恐る恐る手を上げた。


「ほら、あの子たち2人だって。大丈夫だよ、後からちゃんと言っておくから」


「……そうじゃないよ」


コトハが震える声で言った。


「え?」


「そうじゃないよ。イジメが怖いわけじゃない!」


あたしはキョトンとしてコトハを見つめた。


「じゃあ、なにが怖いの?」


そう聞くとコトハは怯えた顔をこちらへ向けた。


それはまるで、あたしに怯えているように見えて、あたしは言葉を失う。


「星羅は今自分がなにをしてるのか理解してない。このままどうなっていくのかも、わかってない!」


その叫び声は不愉快にあたしの鼓膜を揺るがした。


「何ってるの? なにもかも順調だよ?」
< 141 / 202 >

この作品をシェア

pagetop