人格矯正メロディ
クラスでの地位も、将来の夢も、恋愛も。


これ以上の幸せはないかもしれない。


「あのアプリには副作用が出る。いつまでもこんな状態が続くわけない!」


「まだそんなこと言ってるの? いい加減噂に踊らされるのはよしてよ」


あたしは呆れて、ため息を吐きだして言った。


「あれからまだまだ書き込みは増えてる!」


コトハはそう言うと、スマホをあたしの眼前にかざした。


そこに表示されていたのは、以前見た都市伝説のサイトだった。


確かにアプリに関する書き込みは増えているようだ。


仕方なくあたしはコトハが表示されているページに視線を向けた。


《このアプリで副作用が出た! 音楽を聴いた相手が狂暴化して攻撃してきた!》


《両親に音楽聞かせて言いなりにさせてたんだけど、突然暴れ出して骨折させられた》


《この音楽はマジでヤバイ。人の人格を矯正できるかわりに、副作用が出る!》


「こんなの面白がって書いてるだけだって」


あたしはコトハを安心させるようにそう言い、ほほ笑んだ。


「副作用なんて誰も出てないじゃん」
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