人格矯正メロディ
そう言い、田村へ視線を向ける。


田村はいつも通り巨漢を椅子に座らせていて、狂暴かする気配は微塵も感じられなかった。


「もしこの人たちの言ってることが本当だったらどうするの?」


コトハの顔は青ざめている。


最悪の事態でも想像しているのだろう。


でも大丈夫だ。


コトハの考えているような、最悪の事態なんて来ないんだから。


「そうやってあたしの気を引いてるんでしょう? また昔みたいに仲良くしたくて」


あたしの言葉にコトハは目を見開いた。


「だから、一緒にいようって言ってあげてるんじゃん」


あたしはそう言い、コトハの手を握りしめた。


そのまま自分の席へと連れて行こうとしたのだが……。


途中でその手は振り払われていた。


あたしはゆっくりと振り向く。


コトハが、目に涙を浮かべてあたしをにらみつけていた。


あたしは自分の手が振りほどかれたことが信じられなかった。
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