人格矯正メロディ
「よくわかったな」


三好君が驚いた表情になってそう言った。


やっぱり、香澄が絡んでいるみたいだ。


「そりゃわかるだろ。こんなことさせるなんて香澄しかいねぇよ」


明智君はそう言うとズボンのポケットからタバコを取り出して、馴れた手つきで火をつけた。


紫煙がゆっくりと天井へ登っていく。


あたしはそれを視線で追いかけた。


煙は天井付近で止まり、それが火災報知器に触れるのが見えた。


視線を戻し、ジッと明智君を見つめる。


「俺も一本くれ」


三好君が明智君へ向けてそう言い、タバコを受け取る。


2本分のタバコの煙が天井へ向けて登っていく。


喉の奥に苦い香りが張り付いて吐き気を感じた。


「運が悪かったなぁお前も。香澄の初恋の相手と付き合うなんてなぁ」


三好君の言葉にあたしは「えっ」と声を漏らしていた。


次の瞬間。


突然大きなベルの音が鳴り響き、スプリンクラーからシャワーのように水が噴き出していた。


「うわっ!」


「なんだ!?」


2人が慌てはじめたタイミングで勢いよく立ち上がり、あたしは多目的トイレから飛び出したのだった。
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