人格矯正メロディ
☆☆☆
この日は家に戻るまで気が気じゃなかった。
そこの路地から香澄が出て来るんじゃないか。
そこのコンビニには三好君と明智君が待ち伏せしているんじゃないか。
そんな不安が常に付きまとい、ほとんど走るようにして家についていた。
「はぁ……っ」
玄関に駆け込んで鍵をかけて、ようやく大きな息を吐きだした。
額から汗が流れ、肺が圧迫されるように痛む。
「なに大きな音を立ててるの」
リビングから出て来た母親にそう言われ、あたしは荒い呼吸を整えて「なんでもない」と、返事をした。
「それならもっと静かに玄関を閉めなさい」
ただ注意を受けているだけなのに、母親の声色はいつも威圧感に満ちていた。
人に反論させないような強さを持った声だ。
あたしも父親も会話をする時には似たような声を出す。
ただの注意や意見のはずが、有無も言わせぬ命令に聞こえるのだ。
「ごめんなさい」
あたしは小さな声で謝って、自室へと向かったのだった。
この日は家に戻るまで気が気じゃなかった。
そこの路地から香澄が出て来るんじゃないか。
そこのコンビニには三好君と明智君が待ち伏せしているんじゃないか。
そんな不安が常に付きまとい、ほとんど走るようにして家についていた。
「はぁ……っ」
玄関に駆け込んで鍵をかけて、ようやく大きな息を吐きだした。
額から汗が流れ、肺が圧迫されるように痛む。
「なに大きな音を立ててるの」
リビングから出て来た母親にそう言われ、あたしは荒い呼吸を整えて「なんでもない」と、返事をした。
「それならもっと静かに玄関を閉めなさい」
ただ注意を受けているだけなのに、母親の声色はいつも威圧感に満ちていた。
人に反論させないような強さを持った声だ。
あたしも父親も会話をする時には似たような声を出す。
ただの注意や意見のはずが、有無も言わせぬ命令に聞こえるのだ。
「ごめんなさい」
あたしは小さな声で謝って、自室へと向かったのだった。