こちら人生交換屋
美咲としての記憶が無くなってきている

私はもう一度

最後の希望をかけて黄昏山へはしった

もう二度と交換したいなんて思わない

だから

だから…

黄昏山につくと道がまた道があった

「道が…」

走ると見慣れた洋館がそびえ立っている

「お願い。お願いだからここを開けて」

私はドアを激しく叩いた


しばらくすると驚いた表情で男は立っていた

「おやおや、楓様。どうぞ中にお入りください」

私は男に掴みかかった

「お願い。私を元の体に戻して。そして楓を…楓を返して!」

男は冷たい表情でこちらを見ると一言言った

「あなたが望んだのではありませんか。自分とは違い、綺麗で、勉強ができて、友達も多い。そんな彼女になりたいと。楽して手に入れられたではありませんか?」

男はため息をつき冷たい目でこちらを見る

「お帰りください。もう1週間もすれば貴女は美咲としての記憶を失い本物の楓となる。良かったではありませんか。」

「違う。私は私は…。楓が羨ましかった。私は楓のことを何も知らなかった。知ろうとしていなかった。楓になって私は色々なことに気付かされた。だからもう一度…」

『もう自分で一からやり直したいの』

男は一瞬笑ったように見えた



「またのご来店お待ちしております」


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