こちら人生交換屋

同じことの繰り返し

学校に行けばまたいじめられる

もう限界だった

お昼の時間になり

また桜田さん達に呼び出される

無意識に呼吸が荒くなり手足が震える

私は桜田さんの目の前で土下座した

「あ、あの時注意してごめんなさい。だからもう許して」

私は歯を食いしばり涙をこらえた

もうプライドなんてものは無かった

いじめから開放されるなら…

こんな苦しい日々が終わるなら…


でも桜田さんは大笑いして言った

「何勘違いしてんの？あんたをいじめてるのはブスの反応が面白いからに決まってんじゃん。理由なんてないの」

面白い…から？

「な、なに…それ…」

周りもクスクス笑う

理由なんてない…ブスだから…

そして私は今日も殴られ蹴られ一日が終わる

重い荷物をまた持たされ最寄りに向かう

いつまで…

その時後ろから聞き覚えのある声が聞こえた

後ろを振り向くと楓がいた

そして楓の隣には太田くんが…

『報告したいこと…』

そっか…私は全てを悟った

もしかしたら薄々気がついていたのかもしれない

楓も太田くんのことを好きだってこと

私から見ても美男美女でお似合いだった

2人は呑気に楽しそうだ…

私は…私はこんなに苦しいのに

こんなの八つ当たりだって分かってる

だけど…

楓はそんな私に気づかず駅の近くの喫茶店に入っていった

「楓になれたらいいのに…」


私は布団に入り携帯で楽に死ぬ方法を調べた

もう何もかも限界だった

調べるとどれも苦しそうなものばかり…

私には自分で手首を切る勇気も

首を吊る勇気もない

私は死ぬことすらできない臆病者なのだ

その時見知らぬ人からメールが届いていた

「なにこれ…」

『もしあの子になれたら、誰かと人生を交換できたら…なーんて思ったことはありませんか？そんな時は黄昏山の洋館にお越しください。いつでも貴方をお待ちしております。』

背景が紫色で最後に可愛い猫の絵が書かれ
ていた

イタズラメールだろうと私は削除した

人生を交換できるなんてありえない…

それに黄昏山は意外と有名な心霊スポットがある所だ

死神が出るやら男の霊を見たやら

噂が絶えない場所である

昔…1度行ったことがあるがそもそもけもの道しかない

でも…交換かぁ…

2人はいつから付き合っていたのだろうか

どっちから告白したのかなぁ

もちろん楓は私が太田くんのことを好きだったことは知らない

だけど羨ましかった

勉強もできて可愛くて彼氏もいて充実している

そんな楓が…羨ましかった