こちら人生交換屋
昼休み

私がお昼を食べようとすると

桜田さん達がハサミを持ってきて私の目の前に来た

いつもと少し様子が違う…

「あんた前髪伸びたんじゃない?私たちが切ってあげる」

お弁当を床にたたきつけられ

お母さんが作ってくれたおかずが飛び散る

殴られ蹴られた私には抵抗する力もなかった

そのとき

「美咲に何してんの!?離れなさいよ」

楓がすごい顔で教室に入ってくる

そして桜田さんが持っているハサミを太田くんが取り上げた

「え…な、なんで2人が…」

突然の特進コースの2人の登場にクラスが静まり返った

「美咲の様子がおかしかったから…もしかしたらって太田くんと話してたの。この前の委員会の時も足に…アザがあったから」

これでまた報復される

2人にはバレたくなかった。

こんな姿を見られたくなかったのに

そもそもなんで太田くんを連れてくるの?

私を引き立て役にしたいの?

私の醜い心が…感情が

暴走して止めることが出来なかった

「なんで、なんで来たのよ。また、また酷くなるだけじゃない。わざわざ一般コースまで来て、目立つのわかってて…。逆らわないで耐えてれば…それで良かったのに」

「美咲…ちが…」

「楓なんて…もう知らない」


私は教室を飛び出した

生まれながら綺麗で友達もいて

勉強も出来て彼氏もいて

私の事なんて見下してるんだ

楓に私の気持ちなんて分からない

私は気づくと黄昏山に向かって走っていた

もうどうでもいい

いたずらメールなんてこと分かってる

でも今は人に会いたくない

私は昼間なのにどこか薄暗い

黄昏山にたどり着いた

やはり近くには誰の姿も無く不気味だ

「あれ…」

この前昔来た時にはこんな所に道なんてなかったのに…

きちんと舗装された道が山の奥まで続いていた

私が来ていない間に舗装されたのだろうか…


私はその道を歩いて山の中を進む

カラスが不気味に鳴いている

奥に進めば進むほど余計に薄暗くなる

「本当に気味が悪い…」

もう引き戻そうと思った私の目の前に

大きな洋館が現れた

例えるなら…

ドラキュラでも住んでそうな館だ
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