メーティスの骸

透の隣で美咲が笑う。透も「はい！！」と笑顔を見せた。三人でこんな遠出をするのは久しぶりだ。

「おいしいご飯が食べれたらいいな〜。あと、温泉があるといいけど！」

「確かに、ゆっくりしたいですよね〜」

そんなことを話しながら、船旅を楽しむ。一時間ほどで船は磯撫島へと到着した。島のほとんどが緑に覆われている。

「綺麗……」

透が呟くと、玲奈が「ここなら研究にぴったりだわ」と嬉しそうな顔を見せた。そんな表情に、透はまた胸を高鳴らせる。

「よし！下船するぞ！」

洋一の言葉にそれぞれ荷物を手にする。そして船から降りると、透はふと視線を感じた。洋一たちは美しい自然に見とれているようだが、透は視線が気になって仕方がない。

「あっ……」

建物の影などから、島の子どもたちが透たちを見ていた。それは興味というものではなく、憎悪に満ちたものだった。透は寒気を覚える。

「よし、とりあえず宿代わりになっている民家まで行きましょう」