メーティスの骸

美咲も苦笑しながら入っていく。また知らない玲奈のことが見えて、透は寂しくなる。共に事件の真実を明らかにしたことがあるとはいえ、玲奈の一部しか知らないからだ。

「浜田？入らないのか？」

ドアの前で突っ立っている透に、洋一が不思議そうな顔をする。透は慌てて「入るよ！」と笑顔を作った。

家の中は、外と同じく薄汚れていた。天井には蜘蛛の巣があり、部屋の隅には埃が積もっている。

「住めば都、か……」

透はため息をつきながら、自分の寝室を決めてその部屋に荷物を運んだ。



荷物を運び終わり、透がリビングに戻るとそれぞれ自由に過ごしていた。

洋一はテレビをつけてニュースを見ていて、美咲はスマホをいじっている。そして玲奈は真剣な顔で読書をしていた。

「俺、ちょっと散歩に行ってくる」

透はそう声をかけ、家を出た。写真でもあまりこの島は見たことがない。どんな島なのか見てみたいという気持ちが大きかった。