不器用オオカミとひみつの同居生活。
「幸せの愛……そっか、幸愛ちゃん。
いい名前だね」
「でしょ!せかいでいちばんのおなまえなんだよ」
「うん、本当だ」
本当にいい名前。
あれはどう?こっちはどう?と頭を悩ます幸愛ちゃんの両親の姿がすっと思い浮かぶ。
「ちなみに、由来をお聞きしても?」
お母さんはすこし恥ずかしそうに、
「みんなに愛されて、幸せな人生を送れますように」と教えてくれた。
「周りからは反対の声もあったんだけど、キラキラネームだって」
幸愛ちゃんに聞こえないように、お母さんは言った。
「そんなことないですよ。素敵なお名前じゃないですか」
幸愛ちゃんが小首をかしげて私を見上げる。
その頭を優しく撫でた。
「幸愛ちゃんがこれからも幸せな人生を送れますように……って、ツルさんにお願いするね」
「うん!」