不器用オオカミとひみつの同居生活。


ゴンッと鈍い音が静まりかえった空間に響く。


「あっごめん……」


いや、ふつーそうなるよね。だってまさか内側からあけられるなんて思わないもんね。



さすがにこれは怒られると思って身構えるけど、目の前に立っている彼は……

花平くんは、何も言わなかった。


ぶつけた額を気にしているようでもない。


前髪に隠れて表情が見えなくて、なんだか心配になって私は一歩近づいた。



「花平くん?」


……ハッとした。


暗がりに慣れた目に飛び込んできたのは、見るも耐えないぼろぼろの姿。



「なんで、こんなになるまで」


いままでも怪我をして帰ってくることはあったけど、ここまでじゃなかった。


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