不器用オオカミとひみつの同居生活。

ふと視線を感じて前を向くと、すうちゃんがにまにましながら私たちを見ていた。

いまならすうちゃんの考えてること当てられる気がする。


ん？口パクで何か言ってる……『す・き』？




「茅森ちゃん、何してんの？」



『ち・が・う！』って口パクで返していた私は、さっと口を閉じた。


「え？ううん、なんでもない」



ポケットの中でスマホが何度も鳴ってる。


ピコンピコンと送られてくる通知の音。


すうちゃん……



自己紹介がはじまってから自分の番までにすこし時間があったから、スマホを確認する。


すうちゃんからの鬼のような数のメッセージの他に、もう一つメッセージが入ってて……




「……え、嘘でしょ？」


周くんに声をかけられるまで自己紹介が回ってきていたほどに気付かないほど、そのメッセージを見て私は呆然としていた。


結局その後の話も全然身に入ってこなくて、学校が終わるとすうちゃんに断って一目散に家へと帰った。