不器用オオカミとひみつの同居生活。
そんなことがあっていいはずがない。
どうか嘘であってほしい。
朝通ってきた通学路を全速力で駆け抜ける。
手にはスマホを握りしめていて、メッセージ画面を開けたまま。
何度確認しても事実は変わらないのに、夢であってほしいと何度も願う。
気を抜けば涙が出てきそうで、あわてて鼻をすすった。
家に着いて、カバンから鍵を取り出す手が震えていた。
落ち着け私。
大丈夫……きっと大丈夫だから。
それでもどくどくと暴れる心臓が押さえられなくて。
鍵を開けて玄関に転がり込んだ瞬間、私は叫んだ。
「花平くん、私のプリン食べたってほんと!!?」