不器用オオカミとひみつの同居生活。
話は3日前にさかのぼって。
腕の中で眠る花平くんを必死で支えながら私は救急車を呼ぼうとした。
手当ができない怪我ではなかったけど、花平くんの意識がないのが問題で。
スマホで119を押そうとした手を止めたのは、うっすらと目を開けた花平くん本人だった。
何か言ってる。
けど聞き取れなくて、顔に耳を近づけた。
『呼ぶな。呼んだら…分かってんだろうな』
『!?』
私を無事脅した花平くんはまたすっと目を閉じて。
その日、ふたたび目を覚ますことはなかった。
体格の違う花平くんを部屋まで運ぶのはさすがに厳しくて、玄関に布団を持ってきてなんとかその上まで連れていった。