不器用オオカミとひみつの同居生活。
ちいさな痛み
「ねーね!今日の放課後さ、3人で買い物に行かない?」
お弁当のからあげを食べながらそう提案したのは、新しくできた友達の木下 琴音ちゃん。
琴音ちゃん…こっちゃんとは席が前後ろで、プリントをまわすときに意気投合して仲良くなった。
『あたし、木下琴音。って自己紹介したけどね』
なんて笑いかけてくれるこっちゃん。
じつは自分の自己紹介すら何を言ったか覚えてない、とは言えなかった。
もちろん、ほかの人の自己紹介もうろ覚えで。
あのときの私の頭の中はプリンでいっぱいだった。
『気軽にこっちゃんって呼んで!
えーっと……なんて呼んだらいい?』
『みんなからはカヤって呼ばれてるかな。
よろしくね、こっちゃん』
『じゃあカヤちゃん、よろしく。仲良くしてね!』
そしてすうちゃんとこっちゃんと私の3人で行動することが多くなった。