不器用オオカミとひみつの同居生活。
そして二人になった
閑静な温泉街を彩るライトアップにはさすがに感動してしまった。
旅館の前にながれる水路に浮かぶ、竹の鞠でつくられた提灯。
こっちゃんはずっと写真を撮っていたけど、私はただひたすら食い入るように見つめていた。
この幻想的な光景をきれいに写真に収められる自信がなかった。
あ、でもすうちゃんにもこの光景を見せてあげたいな。
おもむろにスマホを取り出して、一枚撮ってみる。
……想像どおりとはいえ、ブレブレだった。
「こっちゃん、綺麗に撮れてるのあったらすうちゃんに送ってほしいんだけど……」
「おっけー!じゃあこれとこれ送るね」
見せてくれたのは、まるでこの光景を切り取ったような写真。
すごい。これが女子力。
こっちゃんのスマホのなかで輝くライトアップは、おうちで寝込んでいるすうちゃんに送られていったのだった。