不器用オオカミとひみつの同居生活。
そのあと部屋でくつろいでいたらこっちゃんが
「あたし、花平くんのとこ行ってくる」
決心したように拳を握りしめて、すくっと立ち上がったから。
「どこにいるかわかるの?」
「全然見当もつかないけど、とりあえず花平くんの部屋行ってみる」
花平くんの部屋は知ってるんだ。
本人から教えてもらったのかな。
「カヤちゃんはどうする?」
ひかえめに尋ねられたけど、私はどうするとも言えなかった。
ついていくわけにもいけないし、ここで待っておくしかない。
でも1人で過ごすのはさみしいからなるべく早く帰ってきてほしい。
そう伝えたら、こっちゃんがぎゅって抱きついてきた。
なぐさめるように頭を撫でられる。
「ごめんねカヤちゃん、すぐに帰ってくるから!」
「……うん」
こっちゃんを見送ったあと、持ってきていたお菓子をひとくち食べる。
……味しないな。