不器用オオカミとひみつの同居生活。
先に静寂をやぶったのは申し訳なさそうにしている周くんだった。
「あの、茅森サン……ここ男湯……」
「え?いまは女湯の時間じゃ……」
家でのこともあるから念入りに確認して入ってきた。
……いや、そういえば脱衣所にいるとき
外から女の人の声が聞こえたような。
もしかしてあれが女将さんで、そのときにのれんを入れ替えられたとか?
ということは、ここは本当に男湯……?
さあっと血の気が引く。
待って、じゃあ私がやばいやつってことだよね?
男湯に入ってしまった申し訳なさと恥ずかしさが混ざり合って、涙が出そうになった。
「ご、ごめんっすぐ出るから……!」
不運というか、私のこの日の運のなさはピカイチらしく。
あわてて上がろうとした矢先、
「うおー、誰もいねぇー!てめーら貸し切りだぞー!」