不器用オオカミとひみつの同居生活。
「「え」」
まさかまさかの、人が増えてしまった。
私たちにはどうやら気付いていないらしく、集団で入ってきたその人たちは手前のほうで騒いでいる。
というかあれ、クラスの人たちでは?
さすがに気付かれたら終わりだ。
男湯に侵入したって学校中で蔑まれて、一生“痴女”のレッテルを貼られて生きていく羽目になってしまう。
どどど、どうしよう……!
このときすぐに隠れたらよかったのに、気が動転していた私はその場でおろおろしていた。
そして、もう少しで気付かれそうになったとき。
──────グイッ
「わ……っ、」
近くの大きな岩の影に連れていかれ、間一髪でクラスメイトには見つからなかった。
ほっと胸をなで下ろしたあと、ハッとしてその人物を見上げる。
「周くん……」
「ちょっと我慢してて」
しー、と口に指を当てる周くんが目と鼻の先にいた。