不器用オオカミとひみつの同居生活。
「……ごちそうさま」
「お粗末さまです。もう夜も遅いから今日はこれで我慢してくださいね」
明日はバイトも入れてないし、放課後に買い物して帰ろう。
男の子はお肉好きだよね。
明日の夜は豚のしょうが焼きでもしようかな。
彼が動けばすぐに気付くのは、たぶん髪色のせい。
金糸のすきまからふたつの切れ長が私に向けられる。
「また作ってくれんの」
「……?はい」
よく考えずにこくりとうなずいた。
この人の考えていることはよくわからない。
だからあまり深く考えないようにしていた。