不器用オオカミとひみつの同居生活。
そのうちだいぶ流暢に話せるようになってきて、意識もはっきりしてきた。
身体のだるさはまだあるけど、支えてもらわなくても座れるようになって。
周くんは部屋まで送っていくとまで言ってくれた。
断ったんだけど、そこは譲ってくれなくて。
「本当に何から何までありがとう」
私はお言葉に甘えて部屋まで送ってもらうことになった。
「じゃあ行こうか。立てる?」
「うん────」
そのとき、視界の端になにかが入った。
誰かの影。
こんな時間にまだ起きてる人がいたんだ、と何気なく視線を向ける。
……なんでここに?
「花平くん」