不器用オオカミとひみつの同居生活。


「花平く……」


とりあえず声をかけようとしたら、さっと冷たい視線を向けられた。


どきりと心臓が音を立てる。



そのまま花平くんは立ち去ってしまった。


いま、なんで睨まれたんだろう。

なんだか後ろを気にしてるみたいだったし……



そのあと周くんに部屋まで送ってもらったんだけど、こっちゃんはいなくて。


私が出て行ってから部屋に戻ってきた形跡もない。


周くんが気にかけて、戻ってくるまで一緒にいようか?って言ってくれたけどさすがに申し訳ないので断った。



「じゃあおやすみ、茅森ちゃん」

「うん、おやすみなさい。ありがとう」


何度もお礼を言って、周くんの後ろ姿を見送る。



そして一人きりになった。


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