不器用オオカミとひみつの同居生活。
どんっと壁に押し当てられた背中が痛くて、顔をゆがめる。
「いっ、た……」
「俺に気があるわけ?」
「え?」
いきなり何を、と顔を見上げるとそれが花平くんだったから。
びっくりして声も出ない私に、花平くんは続ける。
「あいつ……木村だっけ?いい加減しつこいんだけど」
「き、木下です。木下琴音ちゃん」
「さっきも追い回されてたんだよ」
「え?でもこっちゃん、トイレに行くって……」
その帰りに花平くんを見つけたのかな。
こっちゃんの行動力には驚かされてばかりだ。
「で、あいつ俺のこと好きなの?」
「そんなの私の口から言えるわけないじゃないですか……というか、単刀直入にそんなことを聞くのもどうかと思うんですが」