不器用オオカミとひみつの同居生活。


「いまさら単刀直入もねぇだろ。こっちは四六時中つけ回されてるんだっての」


おかげで寝不足なんだけど、とイライラしている花平くん。

もしかして、昨日の夜に会ったときもそういう理由だったの?



「それにしたって、そんな言い方はないでしょ。
こっちゃんは花平くんに恩があって……」


「だから気にすんなっつってんだろーが」

「いや、私に言われても……」


ぎろりと睨まれて、おもわず口をつぐんでしまう。

なんでこんなにフキゲンなの?


壁に押しやられて、身長差もあるから高いところから見下ろされている。

威圧的な態度に、私もすこしだけムカムカしはじめていた。



たぶん今回のオリエンテーションでストレスが溜まっていたこともあったんだろう。


それが何のストレスかはわからないけど、胸が苦しくなっていた。



「なんでこんなところに連れてきたんですか?背中痛いんですけど。離してください」

「お前が山下とずっと一緒に居るからだろ」


そんなの理由になってないし、それに……



「木下だって言ってるじゃないですか。なんで覚えないんですか」

「うるせーな」

「昨日はちゃんと周くんの名前覚えてたくせにっ」


< 168 / 403 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop