不器用オオカミとひみつの同居生活。
「いまさら単刀直入もねぇだろ。こっちは四六時中つけ回されてるんだっての」
おかげで寝不足なんだけど、とイライラしている花平くん。
もしかして、昨日の夜に会ったときもそういう理由だったの?
「それにしたって、そんな言い方はないでしょ。
こっちゃんは花平くんに恩があって……」
「だから気にすんなっつってんだろーが」
「いや、私に言われても……」
ぎろりと睨まれて、おもわず口をつぐんでしまう。
なんでこんなにフキゲンなの?
壁に押しやられて、身長差もあるから高いところから見下ろされている。
威圧的な態度に、私もすこしだけムカムカしはじめていた。
たぶん今回のオリエンテーションでストレスが溜まっていたこともあったんだろう。
それが何のストレスかはわからないけど、胸が苦しくなっていた。
「なんでこんなところに連れてきたんですか?背中痛いんですけど。離してください」
「お前が山下とずっと一緒に居るからだろ」
そんなの理由になってないし、それに……
「木下だって言ってるじゃないですか。なんで覚えないんですか」
「うるせーな」
「昨日はちゃんと周くんの名前覚えてたくせにっ」