不器用オオカミとひみつの同居生活。
二人分の食器を洗い終わって、お風呂を溜めた。
その間にようやく傷の手当てに取りかかる。
「こんなもん、別に手当てしなくていい」
「あまりにも痛々しいんです」
ちょっとしみますよ、と消毒液を傷口にかける。
着ていたシャツは脱いでもらった。
お腹近くに脱脂綿を押し当てると、じわりと白から赤に染まったから。
さっと手を引っこめる。
うわっ、まだ止まってなかったんだ!
自分の身体じゃないのに。
まるで自分のお腹に傷があってそれが痛んだような感覚になり、思わず顔をゆがめた。
「ごめんなさい」
あわてて見上げるけど、彼の表情は何一つ変わっていなかった。
数時間前、コンビニで出会ったときからずっと。