不器用オオカミとひみつの同居生活。
すぐに、首にチクリとした痛みを感じる。
花平くんが気まぐれなのはわかってるけど、
ふつう好きでもない相手にキスとかする?
私なら絶対にしませんけど。
やっぱり私と花平くんじゃ住む世界が違うんだ。
何考えてるのかわからないし、人の名前覚えないし。
本当に意味がわからない。
……強く抵抗することができない自分も意味がわからない。
ばか、私のばか。花平くんのばか。ばーか。
心の中でさんざん毒づいて、せめてもの抵抗でその胸をぐっと押し返す。
「なに」
「なにって……んん、」
全然効果なし。もうされるがままだった。
その手もあっけなく捕まってしまったから、余計に密着してしまう。
強引にキスされて呼吸もまともにできていないはずなのに、
なぜかさっきまでの胸の圧迫感はなくなっていた。