不器用オオカミとひみつの同居生活。
考えないようにした。
家でも、学校でも、
こうして目の前で寝ているときも。
あのときのあれは事故だったんだ。
そう思うようにした。
だって、私も花平くんに好意を寄せてるわけじゃない。
目と鼻の先で眠っている顔をじっと見つめる。
1,2,3……
うん、大丈夫。好きじゃない。
「だからあれはノーカン。ノーカウント」
私のファーストキスは復活した。
「なにがノーカウントだって?」
「ひっ、起きてた」
「お前の声で起きてんだよ」
じゃあ向こうで寝たらいいのに。
なんだかこの状況が当たり前になりつつある。
とはいえさすがに寝起きそうそう、この整った顔が近くにあるのはいつまで経っても慣れない。
自分の布団で寝てくれるのが一番いいんだけど……
たぶん、花平くんは言っても聞かない。