不器用オオカミとひみつの同居生活。


「えへへ、ありがとうございます。迎えにきてくれて」

「お前すぐ風邪引くし」

「そうですね。たぶん、あのまま走って帰ってたら風邪引いてました」

「弱すぎ」


乾いた笑いをもらした花平くんが、私をぐいっと自分のほうに引き寄せた。



「わっ」

「ふらふらしてんなよ」


次の瞬間、すぐ横を猛スピードの車が通っていった。


あ、危ない……気付かなかった。



「さすがに10時間はキツいんじゃねーの」


すっと車道側に移った花平くんが指摘したのはシフトのことだった。

今日は朝から夕方まで入っていたから、そのぶん疲れも溜まっていて。


同期の子にも入りすぎって言われたっけ。



「でも楽しいから。お金も稼げるし、一石二鳥じゃありません?」

「それで体調崩したら元も子もねーだろ」


それはごもっともだ。


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