不器用オオカミとひみつの同居生活。
「なんでコンビニでバイトしてんの」
「えーそりゃ社会経験にもなりますし、明るいし」
「明るい?」
「そ、24時間いつでも明るいでしょう?コンビニって」
「蛾かよ」
失礼な。
女の子にいう言葉じゃないと思いますが。
まぁ花平くんは私のことを女だって思ってない節があるから。
……でも、なんだか気遣ってくれてるような気がする。
さっきから発言に優しさがあるというか、現にこうやって迎えにきてくれてるし。
あと歩調も合わせてくれてるみたいで、花平くんはすこし歩きにくそうにしていた。
「傘、一本しかなくてごめんなさい。そっち濡れてません?」
だいぶ私のほうに傾けてもらってるような。
案の定、その肩には水滴が落ちていて。
傘の柄をすこし花平くんのほうに押すと、肩を抱き寄せられた。
ちょっとびっくりしたけど、当の本人は何食わぬ顔。
「なに?」
「いや……別に」
自分だけ動揺してしまったのが悔しくて、それを隠すようにすこしぶっきらぼうに答えたのだった。