不器用オオカミとひみつの同居生活。



お祭りをやっているのを見つけたのは、ある神社の近くを通ったときだった。


そういえば毎年、この時期になれば屋台が並んでたっけ。


花平くんの言うとおり、10時間も働いたらそれなりに疲れが溜まっていたんだろう。

ちょっとだけ楽をしたくて私は花平くんのそでをかるく引っ張った。



「せっかくですし、夜ご飯買っていきません?」



雨もちょうど止んでいるし、出店にはちらほら人影もあった。


自分が夜ご飯をつくることもできる、という彼のご厚意を申し訳ないけど断固拒否し、私たちはお祭りを見ていくことを決めた。


花平くんは壊滅的に料理ができない。

前に一度頼んだことがあって、そのときの惨状は想像以上のものだった。


ともあれ、焼きそばやたこ焼きを買って帰ろうとした。




「……あ、かき氷」


私がかき氷を見つけるまでは。


< 184 / 403 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop